『古道具 中野商店』 川上弘美
骨董品店・中野商店で働く店長の中野さん、タケオ、そしてヒトミ("わたし")の3人と、周りの人たちの日常を描いた作品。
川上弘美の魅力の一つに、小道具として使われる食べ物があると思う。
この本の中で一番印象に残っているのは、『林檎』に出てくる紅玉だ。"わたし"が丸ごと齧った紅玉のすっぱさは、タケオとの関係の行き詰りの悩みを見事に表していると思う。
林檎といえば聖書のイブであり、絵画では生命や愛を象徴する記号として用いられる。そんな薀蓄以上に、誰だって林檎のすっぱさは体験したことがあるだろう、それが"わたし"の心情とシンクロナイズして、何より読者の私にリアルに感じられたのだ。
それとも単に、食べ物に注視してしまうのは、食い気のある私の習性かな。
関連:『ハヅキさんのこと』
2007年10月8日
古道具 中野商店
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